2011年8月16日火曜日

夏の乗鞍

 お盆休みの週末、有名どころの山小屋はさぞ混み合っていることだろうと、絶対空いていると思われる「バスの通過する山小屋」位ヶ原山荘泊まりで夏の乗鞍岳を味わってみた。雪のある時のスキー山行では数知れず登っている乗鞍だが、夏に登山に来るのは初めて。初日は高速の渋滞で到着が遅くなり、冬には味わえない人であふれた乗鞍高原を味わってから(ルコパンはいっぱいだったので、ゆけむり館前の久保さんのシュタンベルグの出店でソーセージと石窯パンを味わった)、バスで位ヶ原山荘に上がった。肩の小屋入り口まで散策。自転車が行き来するバス道路を1度横切る以外は高山植物が意外に豊富な静かな山道だ。予想通り泊まり客は僕たちだけ。この季節の位ヶ原山荘は自転車の人たちのためのエイドステーションが本業みたいだ。2月からの営業が始まり、スキーツアーで何度もお世話になっておなじみの小屋になった。下界の猛暑で疲れ気味だったが、久々に布団を掛けてゆっくり寝た。
 翌朝は頼んでおいたおにぎりを食べて5時に歩き出す。位ヶ原への登りで振り返ると、槍・穂高が浮かび上がっている。いつみても美しいシルエット。足下はけっこう岩がゴロゴロしていて歩きにくい。朝露でかなりビショビショになる。肩の小屋入り口では、スキーの人たちが既にバスでやってきて準備をしている。山全体からすると、小さな雪渓だが、歩いて登って滑るには適当なサイズかもしれない。ポールをたてていろんな回転半径で滑るコースがあちこちに見える。肩の小屋まで来ると、いよいよメインストリート。小屋泊まりの人たちが既にご来光登山から帰ってきているのとすれ違いながら登る。
 山頂からは南アルプス方面がよく見える。先週登った塩見岳は見えているのだろうが、見慣れないのでよく分からない。御岳は半分雲に隠れていてやや迫力ないのが残念。帰ってからカシミールで検討したところ、南アルプスは白根三山、塩見、荒川、赤石、聖岳まで見えていたことがわかった。さらに面白かったのは、富士山が北岳と重なって見えていたこと。

 富士山最高点の剣が峰(左図では「富士山」と書いてある)と、日本第2の標高を持つ北岳がきっちり重なっているのが偶然とはいえ面白い。富士山の第2のピーク白山岳が北岳の左にのぞいている。
 山頂から更に南西方向の道を歩いてみる。千町が原に続く道だ。山頂の雑踏から一気に人気のない山道になる。大日岳とのコル周辺にはコマクサがたくさん咲いていた。道はゴロゴロした岩を飛んでペンキマークを探しながら続く。人通りが少ないので安定した岩を見極めるのがなかなか難しい。ハイマツが覆い被さったところも多々。ウェアに松ヤニがこびりつく。奥千町避難小屋までと思ったが、意外に時間をくったので畳石原(阿多野への分岐点)で引き返すことにする。広々として気持ちのいいところ。奥千町避難小屋も双眼鏡でよく見える。
 ゴロゴロ道は上る方が楽だ。ふたたび雑踏の山頂から、畳平から往復の人たちで混み合う道をかき分けながら肩の小屋まで降りる。吹き抜けのある面白い構造。建て増し棟もあり快適そうな小屋だ。雪渓でのスキーヤーはずいぶんたくさん。自転車やスキーやハイキングなど、多くの人がてんでにいろんなことをして楽しんでいる様子がなかなか良い。位ヶ原山荘でうどんを食べてから、車を停めた三本滝バス停まで最後の仕上げに歩いて降りたが、なかなかつらかった。山頂からは1200mあまりの標高差。滝を見てからバス停までのちょっとした登りがこたえた。