2007年9月25日火曜日

自転車道路の実情


愛知県には豊田安城自転車道という比較的しっかりした自転車道がある。これは、明治用水という農業用の水路の上を整備したものだ。国道1号線や鉄道と交差するところでは、掘り割り状に道路がもぐりこんで立体交差になっていて、一般の道路が信号や踏切で渋滞しているのをよそに、快適に走ることができる。ところが、最近走ってみて以前には気づかなかった改悪が行われているのを発見した。この自転車道は、小さな車道とは平面交差になっているのだが、そのすべて(こんな細い道まで、、と思う物もふくめて、まさにすべて)において、「自転車を降りて通行してください。愛知県」という大きな看板が立てられ、道路には「トマレ下車」と書かれているのである。そんなことを実行していたらとても走っていられない。いったいどれほどの税金をこの「施策」のために浪費したのだろう。
問題はそれだけではない。この「自転車道」では、しばしば子供連れの人が散歩を楽しんでいるのを見かける。その横を自転車で走り抜けるのは、こちらも気兼ねだし、先方も少なからぬ恐怖感を覚えているはずだ。車道の状況を考えれば、こういう人がいるのもある程度しかたないかと思っていたが、愛知県のホームページを見ると、なんと「自転車道は、自転車と歩行者のためのものです」と書かれているではないか。歩道を自転車が通れるようにしてやった見返りに、自転車道は歩行者にも解放されたのであろうか。安城市街地など歩行者の多い区間では、ちゃんと歩道も併設されているのだが、歩道は多くの場合草刈りが不十分で快適に歩けない状態にある。運用の不備で、自転車、歩行者のどちらも不愉快な思いをさせらていることが残念だ。
この自転車道を作った時点では、何か強力な働きかけがあって、まさに自転車で高速に移動可能なインフラとして作られたはずの道路が、その後次第次第に朽ち果てて、ついには雑草の巣となってしまう過程を見る思いだ。道路というものは、ネットワークを作ることによって実用性が発揮されるものなので、現状の自転車道では結局役に立たず、使われない→だんだん優先権がなくなるという流れになっているのだろうが、たいへんもったいない話だと思う。