2009年6月9日火曜日

初夏の乗鞍

 鈴蘭からバスで上がる乗鞍スキー。バス乗り場の観光センターに朝着いて、クルマのドアを開けると、ホトトギスとカッコウの声がしている。位ヶ原山荘までバスのつもりが、今週末から「肩の小屋口」まで延長運転となって、バスから降りたらすぐに山頂に続く大斜面が広がっている。前日から古い仲間のY氏とNさんが位ヶ原山荘に泊まっていて、朝早くから車道を歩いて登りだしたはずなのだが、どこにもいない。どうやらそのまま畳平方面に行ってしまったらしい。雪はまだいっぱいあるし、天気はいいし、いうことなし。バス4台分の人々がてんでに登っていく。どこを写真に撮っても人が写らないことがないぐらいだ。
 雪の表面は柔らかいが、山頂近くではすぐ下がゴリッと固いところもあり、シール+スキーアイゼンが快適。山頂直下ルンゼを滑って登り返したところでやっと両氏と合流。ナゴヤ・テレマーク界の草分けの滑りを拝ませていただく。思えば最初にY氏にテレマークの道具を借りてよろよろと雪上に立ったのもこの頃の乗鞍だった。そのときはガスの中で、道具はフニャフニャだし、ときおりゴォーっと通り過ぎるアルペンスキーヤーは恐ろしいしで、早々に撤収したのを覚えている。
 山頂付近で3本滑ってから、余勢を駆って、摩利支天方面に登る。富士見岳あたりから位ヶ原山荘に滑るというプランだったが、富士見岳の南のコルから下を見ると、道路の除雪で斜面がザックリ切られている。バスの時間も少し気になって、そのまま何とかごまかして降りた。「山の中で一番危険なのは人工物」とはいつも思うことだが、今回もそのとおりだった。鈴蘭まで降りてくると、もう初夏の高原の気配で、ハルゼミがミョーキンと鳴き、さわやかな風が吹いている。山が最も美しい季節を味わうことができた。