2014年8月15日金曜日

Sigmaのレンズ2点(+1)

NEX-5N + 60mm f2.8 DN (Black)
シグマから最近発売されたdp2 quattroというレンズ固定型デジタルカメラにはかなり惹かれた。前にdp2を持っていたが、独特の構造の受光素子が作り出す緻密な描写は素晴らしいものの、カメラとしての完成度が低く面倒になって手放してしまった。2世代後のquattroは相当優秀らしい。が、まだ決心もつきかねるので(新しいボディーを買うと操作を身につけるのがまた面倒で...)、とりあえず以前から懸案だった交換レンズを買ってみた(あまり関係ないとも言えるが)。19mm、30mm、60mmのラインアップの内、30mmは以前から愛用しているが、その後なんとなく保留となっていた。まず、60mmのブラックを買ってみたが、思いの外NEXによく似合う。

NEX-5N + 19mm f2.8 DN (Silver)
余勢を駆って19mmシルバーも入手。このデザインになって1年あまり経ってだいぶ安くなっているというのもある。先端に近いツルッとしたところがピントリングだが、なんだか間延びした感じにならないか危惧していたのだが、NEXのマウント基部が銀色のリングになっているせいか、黒も銀も良くおさまっている。これらのレンズは、カメラの電源が入っていないと、鏡胴の中でレンズの一部が前後に滑って動ける構造らしく、傾けるとカタンコトンと音をたてるのが著しく精密感を損なうのが難点なのだが、描写の良さに免じて使っているうちに、そんなもんだと思うようになった(と思う)。

肝心の使用感については、60mmはたいへん鮮鋭、19mmはまずまずというのが今の印象。60mmを手動フォーカシングすると、内部のステッピングの刻みが粗めなため、ピントの合う場所がぴょんぴょんと段階的に移動するのがピーキング表示をするとよく分かる。うるさくいうと、三脚を据えて精密にピントを合わせてという使い方には向かない、ということか。自分はもっぱら手持ちなのでいいのだが、手ぶれ補正機構が入っていないので、そっちの方がどれぐらい影響してくるか。

考えてみると、このラインアップの焦点距離は、35mm版換算では28mm、45mm、90mmとなり、往年のContax GのBiogon、Planar、Sonnarとぴったり一致する。同じレンズをmicro-4/3マウントにしたものもあるが、こちらは38mm、60mm、120mm相当となり望遠より過ぎになる。デザインも、特に擬古的なOlympusとは全く合わないものになっていることと併せて、やはりNEX系のEマウントをメインターゲットとして企画されたもののように思え、買わないと申し訳ない、というのが結論。

30mm f2.8 EX DN(旧型)
念のために、旧型の30mm f2.8 EX DNを取り出して比較してみた。フォーカスリングを回す感触は、こちらの方が少しガサガサしている。静止状態から動き始めるときの抵抗があり、ごく微量だけ回転させるのが難しい。もちろんこれはこの個体だけの問題かも知れない。これと比較すると新型の感触はすぐれている。ごくわずかの力をかけると静かに動き始め、そのまま滑らかに回って行く。webでは、これをオーディオ機器のつまみの感触に例えたものがあった。これはうまい例えだと思う。いっそ旧型を下取りに出して買い換えるか、とも思ったが、実際にはAFで使うことが多いのだからと、思いとどまった(今のところ→後日やっぱり買い替えてしまいました。黒は指紋が目立つので銀を選択。)。もう一つ気づいた違いは、旧型では写真のようにレンズ先端にスペックなどが白字で印刷してあるが、新型では同じような内容が彫り込んである(正確にはプラスチックなので、モールドしてある、のだろう)。白い塗料は流し込まれていない。どちらが上等なのか微妙だが、レンズ先端部に無用の反射を起こす可能性のある白い部分をつくらないという配慮をしたとすれば、後者の方が良い仕上げなのだろう。また旧型は「LENS MADE IN JAPAN」だが、新型は単に「MADE IN JAPAN」となっている。この書き分けに意味があるとすれば、旧型はガラス部分は日本製だが組み立てはどこか別の国、ということのように思える。あまりたくさん売れそうもないレンズに、発売1年ぐらいでこれだけの変更を加えるというのは、どんな事情があったのかは知らないが、面白いことだと思った。