元高谷池ヒュッテ管理人の築田さんのお仲間にまぜてもらって、前から行ってみたかった火打山から澄川源流に滑り込むツアーをした。途中、登り返して容雅山登頂もセットになったお得なプランだ。笹ヶ峰への道の除雪終了点(スキー場の真ん中ぐらい)から歩き出して、笹ヶ峰、黒沢とたどるが皆さんのハイペースがつらい。黒沢岳直下は雪まじりの強い西風が吹き付けるカリカリの斜面をひたすら駆け抜けるようにトラバース。傾斜がゆるむとほどなくなつかしい高谷池ヒュッテが見える。めでたく一番乗りで、奥にテーブルを据えて陣地を確保し、飲み会の始まり。ザックからドンドン出てくるビールをお裾分けしてもらって、楽しいヨタ話。皆さん、飲み会とメシに情熱を傾けておられて、つまみというか料理というかグルグル目が回るほど回ってくるので、これもありがたくいただく。ごちそうさまでした。
結局3パーティーで小屋がほどよくいっぱいになった。夕方には風もおさまり、長い静かな夜を過ごした後は期待通りの無風晴天。火打山が朝日に赤く染まる。火打山周辺はかなり堅くなっていることが予想されるので、出発は9時。軒下に設置されたwebカメラが毎時正時に自動撮影なので、集合写真を撮ってからの出発だ。稜線に近づくと予想通りカチカチ。スキーアイゼンで2340mぐらいまで行くが、この上は滑るのもたいへんそうなので頂上はパスして澄川源頭に滑り込む(写真)。パック気味のパウダーにところどころまだらにアイスバーンが混じる、なかなかやっかいなコンディション。しかしここはまだ良い方だった。1900mぐらいからデブリ帯がはじまる。ガチガチのデブリの山が谷の真ん中を占めているので、端の方をなんとか拾ってすべるが、重いパウダーの中に、氷山の一角のようにデブリの塊が少しだけ顔を出している。小さいから蹴散らそうとしても根もとはデカイのでびくともせず、こっちがころぶ。たいへんやっかいだ。
1650mぐらいでなんとかデブリ帯が終わり、滑りやすい雪になった谷底を辿っていくと前方に容雅山が見える(写真)。澄川は全般に、ゲジゲジだらけの地形図から想像するよりずっと穏やかな雰囲気だ。1160mあたりの地形図上は左岸が岩のガケになっているところが登り返しのポイント。といってもすっぽりと雪におおわれていて取り付きは良い。汗をかきながら登っていくと対岸の黒菱山がきれいに見える。
容雅山山頂直下は稜線が細く急な登りとなってシール登高はつらい(写真)。稜線自体はそれほど狭くないのだがブッシュがあって通れるところが狭い。スキーアイゼンをつけて挑んだが、一部やむをえずツボ足。スキーツアーの技術体系というのはありがたいもので、道具の選び方や身のこなし、コースの選び方まで先人の経験の蓄積のおかげで、こうして能率の良い移動が可能になる。などとブツブツ考えながら登りついた山頂はなんとも穏やかな丸いドーム。
またまた冷たいビールのお裾分けに感激しながら、火打を振り返ったり、前に辿った大毛無山からのルートを眺めたり。ここからの北東斜面が最高の雪質だった。自分が蹴散らしたピンポン玉大の雪片が乱れ飛ぶ中を、それらと競うようにカービングターンを刻んでいく至福。澄川が割れていて徒渉があったりしたが、林道クロカンレースを経てクルマのデポ地点にすんなり到着。出発点まで乗せてもらう車中から妙高・火打の連山を眺めて、あらためてこのコースの長さを思った。築田さんとお仲間の皆様、お世話になりました。
Camera: Canon PowerShot S90