2010年5月14日金曜日

Making the best of the second good news

 「むらちゃん」ことMさんからもたらされた2番目の良き知らせ、つまり立山川が今年はきれいにつながっていて、馬場島と室堂乗越がスキーをはいたまま行き来できるというのは、少雪の年が多い近年のGWには、なかなか珍しいことのように思う。GW後には雨も降ったので多少条件は悪くなっているにせよ、まだトライする値打ちはあるだろうと、またまた東海北陸道をたどって富山に向かうのであった。田んぼに水が張られて、まだ田植えは済んでいないこの季節が、日本の水田の最も美しい季節ではないだろうか。ことにそこに映るのがこの間滑った大窓だ、ときたらこたえらませんね。
 一応GWも過ぎたので、立山駅では、さほど並ぶこともなくキップが買える。改札前の列には台湾などの国際観光団も多く、スキーを持っている姿が珍しいのか、手真似で一緒に写真に写ってくれと誘われる。いわゆるパンダ扱いである。でも、わるい気はしない。今日は宿に入るだけなので、室堂から例によって、まず山崎カールに向かう。浄土山方面ではイベントなのか、歩いて登ってはソリで滑る人たちが大勢いた。山崎カールから別山乗越上空にかけて何度か往復して高度を稼ぐグライダーあり。稜線からニュッと出てきたときにはびっくりしましたが、文句なしにカッコイイ。
 GWに来れなかった定宿の雷鳥荘で一夜を過ごしたあとは、本番の立山川くだり。まずは室堂乗越、というより、Mさん情報でその少し東側の枝沢(権右ェ門谷というらしい)のコルをめざす。情報通り滑り出しもスムーズだし、谷自体もフラットな雪面が続いている。新しそうなシュプールと、行く手に人影があったので先行者かと思ったら、登ってくる人だった。おそるおそる「登り返しですか?」と尋ねたら、馬場島から登ってきたとのこと。やった!これで馬場島まで降りられることが分かった。その人は剱御前まで日帰りするとのこと。強い人はたくさんいるのだ。
 この写真は、ちょっと説明がいる。前夜、雷鳥荘で妙高バックカントリースキースクールの小笠原さん親子とビルさんと一緒になって、遅くまで飲んだのだが、そのときのタッツァンのヨタ話に、登山部時代に雪渓でのキジ(大)直後にちょっと足を滑らせてしまった奴が這い上がってきて、拭く手間が省けたよ、と強がるのを見たら、雪面に黒い筋がついていた(汚くてスミマセンスミマセン)というのがあったのを、この光景を見て思い出したのだった。このあいだのMさんとボルトマンのワンゲルキスリング伝説(タッシェに入らないモノはないんだ!)といい、山屋のヨタ話はオモシロイのだ。もっとデブリだらけかと思ったら意外にスキー滑降が楽しめる立山川だった。
 しかし、しだいに両側の岸壁は狭まり、雪が割れて流れもだんだん出てきて、ついに「オクノスワリ」といわれるあたりに来た。上で会った人には「左岸をずっと行くのがいいよ」と言われていたが、一応右岸(この写真では、流れの向こうが右岸、手前が左岸)もチェックして見る。赤いリボンがぶらさがっていたりして、季節によっては道になっているのだろうが、今は雪の切れたところのつながりがわるそうだ。左岸は途中に軽いヤブコギはあるが、それ以外はきれいに雪がつながっているので、やはり左岸が良かったのだった。
 ここを過ぎてしまえば、わるいところもなく、取水口を経て林道をくだり、無事馬場島への道に出ることができた。雪の消えた所には、春の使者といいたくなるキクザキイチゲが、さわやかな姿を見せている。このあいだ来たばかりの馬場島荘でチャイを飲みながら、剱の岩峰を再び眺めて、やっぱりいいところだなぁと、せつないような気持ちになったのだった。(5/19記す)(10/8追記 佐伯邦夫先生の「富山湾岸からの北アルプス」によると、ここで「オクノスワリ」と書いた場所は「クチノスワリ」だそうだ。「オクノスワリ」は東大谷出合より上流で、この時期は雪に埋もれている。)