昨年は天候が不安定で八合目どまりだった富士山だが、今年は「むらちゃん」ことMさんの縦横無尽の登りっぷり、滑りっぷりに刺激されたこともあって、目指せ剣が峰&お釜の底と張り切ったのだが、寒気が長く居座っていて先週も五合目まで車で上がったものの低温と天候不良で登山中止。かなり気温も上がってきたようなので、あらためて富士宮口からアプローチした。六合五勺過ぎで雪が出てきたら、即、好みのシール&クトースタイルでジグザグをきざんで山頂直下まで登り詰めたが、直前でシールスリップが激しくアイゼン歩行に切り替え。その横をクライミングサポートを高く上げたTLT氏に登って行かれたのはチトくやしかった。剣が峰までアイゼンで登り、ほぼ無風の日本最高地点を楽しむ。(写真は剣が峰から見下ろした富士宮山頂方面)
甲斐犬の太郎も剣が峰まで登ったが、急下降は苦手なためか逃亡を図ったので、探しに行った飼い主のitokisya氏を置いて、われらはイザお釜の底までも。帰りは200m近く登り返さないといけないというプレッシャーもあるが、落石がちらばり、静まりかえった無人の空間に吸い込まれるように降りていくのは、何か独特の緊張感があった。Mさんはあの岩の上で昼寝をしたのだから(よくあちこちで昼寝をする人だ)と、自分を励ましながら底の底まで降り立った。
周囲を見渡すと、剣が峰から虎岩(富士宮山頂直下の岩塊)にかけては雪のスロープ(とても急な)だが、それ以外はほとんどゴツゴツした溶岩の断崖にとりかこまれている。崖にはあちこちに氷瀑や氷柱がかかり、ものすごさをましている。ほぼ真西の方向にある氷瀑が白く輝いて美しい(写真)。確かにここは特別な場所だ、としばし感慨にふける。とはいえ、まわりに散らばる岩や氷柱の断片は、長居をすればこういうのが落ちてくるよという警告なわけで、そそくさとアイゼンをつけて登り返した。
スキーもアイゼンもない太郎には下りはこわいらしく、山頂直下はかなりいやがっていたが九合目ぐらいからしだいに楽そうに歩いて降りていた。(動画)スキーヤーにとっては、山頂直下の凍った斜面を過ぎてしまえば、ほどよく緩んで快適な大斜面。しばらく飛ばしては、itokisyaさんと太郎を待ちながら休憩というパターンで楽に降りることができた。八合目小屋の屋根は暖かくて特に快適だった。
山中湖畔で一夜を明かして、富士五湖めぐりをしながら帰途についた。山中湖から見上げると吉田大沢はべっとりと白く、来週ぐらいから本格的に富士山、、というMさんのメールを思い出して、なるほどと思うのだった。
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