2011年2月9日水曜日

TLTで滝沢尾根

 TLT体験の2回目は妙高アカカンゲレンデトップから前山に登って滝沢尾根を降りるコース。前日から晴れているので登りのトラックは道路のように堅くしまっていて、急なところもあるが、クライミングサポート1段+スキーアイゼンで楽々。写真後方に見える「三角ハゲ」は傾斜が立っているので、引き抜き式キックターンを練習する。前半の開きだしは問題ないが、後半で回す板のトップが雪面にひっかかって困ったが、靴のカフにトップを乗せるようにするとうまくいくようになった(岳人2月号が参考書)。テレではどうだろうか。
 稜線に上がると、左手に滝沢尾根の上部が見える。写真のように見晴らしが良い。写真の更に右側、山頂との間の部分はやせ尾根なので状況によってはちょっとこわいところだ。DynafitのTLT5という最新式軽量靴を履いた人がいた。「道具は一式新品だけど、身体の方は83年使ってるよ」と笑いながら、無事登頂されていた。あやかりたいものだ。滝沢尾根上部は、右側(南側)はガリガリだったが、左側は快適なパウダー。
 写真は上の写真と同じあたりを上から見たところ。この辺をすぎて樹林に入ると、しだいに重い雪になっていった。樹林の中を滑る場合、テレでは前足を木の間に滑り込ませるようなイメージで僕は滑るのだが(歩くような動作)、アルペンではそうはいかないので、一瞬混乱した。少し手前から、木の間を通る軌跡を思い描いて、うまく板を向けてやるときれいにターンできるようになった。違う道具を使うとそれまで無意識にしていた動作について考えさせられて面白い。また、カカトが固定された道具では、逆にカカトが浮かないような身体の動きにしないといけないようだ。これはちょっと意外だった。斜度の変わり目など、急ブレーキがかかる状況では、テレではテレマーク姿勢でショックを吸収するという手があるが、アルペンではカカトが浮かないためにひどいと全身が飛んでしまう。テレはその場その場で対応できる(しなければならない)が、アルペンでは早め早めに計画的に滑らないといけないような感じ。雪が重くなってくるほどに、カカトを中心にして雪面をえぐるようなターンを心がけると、たいへん安定して滑ることができた。むしろ安定しすぎているほど。トータルでは体力的にテレよりだいぶ楽だなぁと感じた。細かいバランス調整が必要でない分、筋肉疲労が少ないのだろう。
山スキーの人の登りでの動きを見ていると、急斜面でのキックターンなどトリッキーな場面でギクシャクしてしまう人がしばしば見られるが、足の裏が曲がらないために後ろの足がつま先立ちになり、板のコントロールを難しくしているように見える。これに対して、F3ではジャバラのおかげで母指球をあまり板から離さない姿勢がとれるため、テレとほとんど感覚的に違いのない動作ができる。自分でも意外なぐらい違和感なくTLTを使い始めることができたのは、ジャバラ靴と組み合わせことが大きな要素になっているようだ。