2014年11月26日水曜日

今年のアルペンルートはおわりかけ。シーズンは始まったばかり。

昨年は連休の宿が確認不足で取れてなかったので月末プランとなったが、結果的には雪崩を回避できたことになる。今年は宿がとれたので連休プラン。少雪気味ではあるが、滑るにはあまり不足のないコンディションとなった。一日早く入山したので、あまりシュプールのついていない山の姿を味わうことができた。お決まりのみくりが池越しの立山連峰だが、後で見返してみると、池まであと少しまで迫ったシュプールが面白い。
雷鳥荘を1時半発という遅い時間だったが、天気の良さにつられて、剱岳の姿を 見ようと別山乗越まで上がった。この日は視界が良く、不帰の険の向こうに妙高の火打山が見えていたのが印象的だった。天気は良くてもさすがに11月なので、登ってる時は暑いぐらいだったが、夕方になると気温が急降下して、雪は立派なクラスト(一度溶けかけた雪が再凍結してターンしにくい状態になること)になり、シーズン初めでもありかなりヘロヘロ・ボテボテの下りとなった。11月は3時半ぐらいには宿に帰っているのがいい。
連休に入ると大勢のスキーヤー・ボーダーがやってきて、山はシュプールだらけとなる。こういう写真をじっくり眺めると、シュプールの一つ一つにストーリーが読めるような気がしてくる。後から、あのときはこっちを滑ったほうが良かったかなどと考えるのも面白い。11月の彫りの深い山の姿をただ味わうのも良い。
上の写真の中央やや左よりのギザギザな尾根に沿って登っているところ。おおぜいの人が登ったらしく、トレースは踏み固められて圧雪路面のようだ。シールよりもスキーアイゼンの方がよく効くぐらい。上の写真で尾根の右の光のあたった斜面はどうみてもクラストしているので、左側の日の当たらない谷を滑った。期待通り、パウダーランを味わうことができた。ちょっとした工夫が大事。
帰り道で 見かけた黒部平駅の冬支度。こんなに大きい字にしなくてもと思うが、麻雀牌からの連想かな。立山での滞在中に、長野県神城断層地震があった。宿での体感では震度2ぐらいだった。今年の長野県は何度も自然災害にたたられ、知り合いの中にも色々な形で影響を被った人たちがいる。そろそろ災害も一段落してほしいものだ。

2014年8月15日金曜日

Sigmaのレンズ2点(+1)

NEX-5N + 60mm f2.8 DN (Black)
シグマから最近発売されたdp2 quattroというレンズ固定型デジタルカメラにはかなり惹かれた。前にdp2を持っていたが、独特の構造の受光素子が作り出す緻密な描写は素晴らしいものの、カメラとしての完成度が低く面倒になって手放してしまった。2世代後のquattroは相当優秀らしい。が、まだ決心もつきかねるので(新しいボディーを買うと操作を身につけるのがまた面倒で...)、とりあえず以前から懸案だった交換レンズを買ってみた(あまり関係ないとも言えるが)。19mm、30mm、60mmのラインアップの内、30mmは以前から愛用しているが、その後なんとなく保留となっていた。まず、60mmのブラックを買ってみたが、思いの外NEXによく似合う。

NEX-5N + 19mm f2.8 DN (Silver)
余勢を駆って19mmシルバーも入手。このデザインになって1年あまり経ってだいぶ安くなっているというのもある。先端に近いツルッとしたところがピントリングだが、なんだか間延びした感じにならないか危惧していたのだが、NEXのマウント基部が銀色のリングになっているせいか、黒も銀も良くおさまっている。これらのレンズは、カメラの電源が入っていないと、鏡胴の中でレンズの一部が前後に滑って動ける構造らしく、傾けるとカタンコトンと音をたてるのが著しく精密感を損なうのが難点なのだが、描写の良さに免じて使っているうちに、そんなもんだと思うようになった(と思う)。

肝心の使用感については、60mmはたいへん鮮鋭、19mmはまずまずというのが今の印象。60mmを手動フォーカシングすると、内部のステッピングの刻みが粗めなため、ピントの合う場所がぴょんぴょんと段階的に移動するのがピーキング表示をするとよく分かる。うるさくいうと、三脚を据えて精密にピントを合わせてという使い方には向かない、ということか。自分はもっぱら手持ちなのでいいのだが、手ぶれ補正機構が入っていないので、そっちの方がどれぐらい影響してくるか。

考えてみると、このラインアップの焦点距離は、35mm版換算では28mm、45mm、90mmとなり、往年のContax GのBiogon、Planar、Sonnarとぴったり一致する。同じレンズをmicro-4/3マウントにしたものもあるが、こちらは38mm、60mm、120mm相当となり望遠より過ぎになる。デザインも、特に擬古的なOlympusとは全く合わないものになっていることと併せて、やはりNEX系のEマウントをメインターゲットとして企画されたもののように思え、買わないと申し訳ない、というのが結論。

30mm f2.8 EX DN(旧型)
念のために、旧型の30mm f2.8 EX DNを取り出して比較してみた。フォーカスリングを回す感触は、こちらの方が少しガサガサしている。静止状態から動き始めるときの抵抗があり、ごく微量だけ回転させるのが難しい。もちろんこれはこの個体だけの問題かも知れない。これと比較すると新型の感触はすぐれている。ごくわずかの力をかけると静かに動き始め、そのまま滑らかに回って行く。webでは、これをオーディオ機器のつまみの感触に例えたものがあった。これはうまい例えだと思う。いっそ旧型を下取りに出して買い換えるか、とも思ったが、実際にはAFで使うことが多いのだからと、思いとどまった(今のところ→後日やっぱり買い替えてしまいました。黒は指紋が目立つので銀を選択。)。もう一つ気づいた違いは、旧型では写真のようにレンズ先端にスペックなどが白字で印刷してあるが、新型では同じような内容が彫り込んである(正確にはプラスチックなので、モールドしてある、のだろう)。白い塗料は流し込まれていない。どちらが上等なのか微妙だが、レンズ先端部に無用の反射を起こす可能性のある白い部分をつくらないという配慮をしたとすれば、後者の方が良い仕上げなのだろう。また旧型は「LENS MADE IN JAPAN」だが、新型は単に「MADE IN JAPAN」となっている。この書き分けに意味があるとすれば、旧型はガラス部分は日本製だが組み立てはどこか別の国、ということのように思える。あまりたくさん売れそうもないレンズに、発売1年ぐらいでこれだけの変更を加えるというのは、どんな事情があったのかは知らないが、面白いことだと思った。

2014年6月1日日曜日

蓮華岳(大沢右俣)

シーズンも終わりに近づくこの季節、アルペンルートの東の出発点・扇沢を起点とするものの、機械力は使わずにすべて人力であがる(安上がりな)針ノ木岳が人気ルートとなる。今回は針ノ木雪渓を途中で逸れて、蓮華岳から真北に落ちる蓮華大沢右俣を登って滑った。2010年にイトーさんと扇沢で待ち合わせたものの、イトーさんは太郎(犬の)を連れてこの谷を登っていってしまった。今回はそれに倣ってみたが思った以上に急なコースだった。

扇沢からは板を担いで歩き出す。篭川の右岸を通る道を辿って堰堤が近づく辺りでスキーをはく。大沢小屋のあたりで、左手から大きな谷が合流する。これが蓮華大沢。18日、25日、28日とwebで記録を見て、だんだん条件がわるくなっているが、なんとかなりそうかなと、こちらを登ることにする。左図全体が大沢で、針ノ木雪渓はこの写真の更に右側外にある。図の真ん中あたりで右に分かれるのが右俣。手前の広いところは平たく見えるが、ここで20度ぐらい。右俣に入ると30度、35度となり、稜線直下は40度ぐらいになる。
右俣にこれから取りかかるところでスキーアイゼンを取り付ける。雪がグサグサで、表面のデコボコも激しいのであまり効かない。
早めにスキーを担いで、アイゼン登高に切り替える。左図は、一つ前の図の奥のあたりで、雪の表面に点々と落石がある。周りのガケから落ちてくる訳だから、あまりのんびりしてはいられない。警戒が必要。また、滑るときにはスキーを痛める凶悪な敵なので、石の少ないところに目星をつけながら登る(探せば石のないところもありそう、という程度)。図ではスキーの先端の穴に紐を通してひきずっている。紐はカラビナでザックの肩紐にかける。これぐらいの長さが操作しやすい。肩の重荷が軽減され、風が強いときもあおられにくい、準備が楽という利点がある。逆に、雪がないところがあるとスキーを痛めるのと、トラバースが苦手なのが弱点。
だいぶ登って標高2400mぐらいのところで振り返ると、爺ヶ岳(右)がたおやかな曲線を描いている。真ん中にのぞいているのが鹿島槍。谷の側面のダケカンバが美しい。あと山頂まで400mほどだがここからが傾斜がきつくつらかった。雪がゆるく足の沈みが大きいので、少し傾斜が落ちたところで、シール+スキーアイゼンに戻して、稜線の登山道脇まで登り上げた。稜線の向こうで槍・穂高が迎えてくれる。今日は一番乗りみたいだ。
蓮華岳山頂にたどりついて一休みしていると、蝶がぴゅーっと飛んできて、首筋にとまって離れない。汗の水気と塩気に引かれている、といえば散文的だが、縁のある誰かのタマシイが会いに来てくれたのかもしれない、などと文学的なことも考える。(ウスバシロチョウというアゲハの仲間でした。ハネが半透明でとてもきれい。胴体は黄色い毛がたくさん生えていて寒さにも強そう。)山頂でiPhoneで撮ったパノラマをVRにしたものがこちら。(パノラマ写真だとイマイチ面白くないので、Pano2VRというソフトでこういう形にした。Flashを使っているのでiPad、iPhoneでは見られない。マウスかカーソルキーで移動。Shiftキーを押すと拡大、Controlキーで縮小。)風もなく展望の良い山頂でのんびりしながら、あの山この山と話がつきない。今日は黄砂が飛んでいるとのことで遠くはややかすんでいるが、まずまずの眺め。
蓮華岳は東西にはなだらかな山容だが南北は急峻だ。滑り始めるとあっというまに高度を落としていく。雪がグズグズなので気持ちよくはないが、ストップ雪というほどではない。次第に谷が狭まり、落石地帯に突入。右に左にと石の少ないところを選びながらチマチマ降りる。最後の方は石はなさそうだが、葉っぱや枝が落ちていて、スキーの下でガリッギリッと音を立てる。どれかは石だったかもしれない。恐れていたほどはスキーのソールにキズをつけずに滑り終えることができた(主観的評価)。
またスキーを担いで山道をぽくぽく歩いて降りる。見上げると柳の花が輝いている。こうして雪の世界と早春の緑の世界を何度も行き来できるのが、春の山スキーの楽しみのひとつである。扇沢から蓮華岳山頂まで標高差1400mだが、これは富士宮口から富士山頂までとほぼ同じ。標高が1000m低い分、空気が濃いので体は楽だが、大沢右俣を登ると富士山よりずっと急傾斜を味わえる。しかし甲斐犬太郎くんは良くがんばったな。(特に下り)