天候にめぐまれたGW後半戦は、以前から行ってみたかった剱岳の長治郎谷(ちょうじろうたん)を、コルまで往復した。この谷は、明治時代に三角点設置のためにそれまで未踏と言われていた剱岳に登るのに使われたルートだ。写真の真ん中の白いくぼみがコル、その左側の二つめの白いピークが剱岳山頂だ。当日は気温が高く、滑落のおそれはないが、逆に雪が崩れないか気になった。熊の岩を過ぎたところで、念のため一度つぼ足+アイゼンにしてみたが腰までもぐって歩けず、結局最後までシール登高(+スキーアイゼン)だった。傾斜は急だが、名にし負う剱岳の頂上直下にしては意外におだやかな地形で、左右の岩尾根にアリのようにたかっているクライマーを眺めながら、気持ちよく登れた(向こうから見れば、谷底をはいずっているアリだといわれそうだが)。今年はおなじみの剱沢小屋が破損のため収容人数が少ないので予約できず、剱御前小舎を使ったが、たいへんフレンドリーで良い小屋だった。剱沢小屋の客はスキーヤーかクライマーが多いが、景色の良い稜線上にある剱御前小舎は写真を撮りに来た人や縦走をする人が多く、客層の違いが面白かった。でも、長治郎谷の帰りには余分の標高差300mがちょっとうらめしかった。翌日はタンボ平を滑ったが、東一ノ越へのトラバースラインが高いところについていて、結構な急斜面を滑ることになった。