2009年9月2日水曜日

五竜・鹿島槍

 今までなかなかタイミングがあわず、歩いたことがなかった後立山の五竜岳、鹿島槍ヶ岳を縦走した。近い場所の記録としては、13年前に当時発売したてのデジタルカメラ、リコー DC-2Lを持って扇沢と鹿島槍南峰を往復したぐらいだ。初日は遠見尾根から五竜山荘まで。雲が去来する中の登りだったが、ときどき日が照ると暑い。2,3日前までは北の高気圧からの寒気で相当冷え込んだとの情報で、暖かめの衣類を多くもってきたので大変。遠見尾根は周りの展望も良く楽しく歩ける(雲のかかる五竜岳)。白岳の下の斜面は小さなカールなのだろう。スキーには良さそうだ。
 予報通り、前線の通過と、南から接近する台風が湿った空気を送り込んでくるので、雨の朝となる。鹿島槍への稜線は名にし負うきびしい岩稜歩きなので若干迷ったが、天候の回復を期待して雨の中を歩き出す。あまり予習しなかったので、どのあたりが岩場なのか良くわかっていなかったが、要するにほとんどずっと岩場だった。すれ違う人もほとんどなく静かな中を、次々と現れるタスクを坦坦とこなしていく感じ。最近は、MontrailのHurricane Ridgeを愛用しているが、まさにこういう時のためにある靴だと思った。強力な靴底のフリクション(強力すぎてときどきけつまずくほど)、細かいホールドにも乗れるエッジ感覚、完璧な防水性。現行商品ではなくなってしまったのが残念だ。八峰キレットでは地形のすごさに驚く。鹿島槍南峰のくだりで漸く景色が少し見え始める(写真)。
 冷池山荘は、扇沢から上がってきた人たちで大賑わいだったが、それでも天気のわるさで人数としては少なめだったようで、ゆったり寝られた。文句の多い中高年が押し寄せても大丈夫なように理論武装がなされた小屋。いちいちもっともなのだが、ちょっと細かい。翌朝晴れればもう一度鹿島槍に登って展望を、と思っていたが、雲の多い天候に爺ヶ岳を冷やかして赤岩尾根をくだることにする。扇沢への道は混雑していそうなのと、テレキャビンの駅にタクシーで戻るには大谷原からが近いため。(文字通り赤い岩でできた赤岩尾根)
 赤岩尾根をおりはじめるとまもなくガスに包まれてというか雨雲の中に突入し、ハシゴがたくさんかかった急坂を坦坦と下りる。登ってくる人は2パーティー3名、同方向は他にいない。たいへん空いている。写真のような、ハンモックやドームのような形をした蜘蛛の巣が大変多い。細かい水滴がつくせいで、はっきりと見えるのだろう。クモの姿が全く見えないのが少し不思議。夜行性なのか。
 おりついた西俣出合では、北俣本谷にかけられた巨大な堰堤の下を通り抜けるトンネルがあった。おもしろい構造だ。堰堤を流れ落ちる水を裏からのぞける窓がいくつか作ってあるのもおもしろかった。法面の補強工事をいくつか見上げながら大谷原まで歩き、予約しておいたタクシーでテレキャビン駅まで戻る。6000円也。

Camera: Panasonic DMC-FX01