烏帽子小屋に着いてから、烏帽子岳往復をした。前烏帽子に登ると烏帽子岳と、その背後に立山が見えて思わず歓声。岩の感触を楽しんで烏帽子岳に登った後、烏帽子田圃の池塘群を楽しみながら南沢岳まで行った。ここからの烏帽子岳(写真)が一番格好がいいと思う。まさに烏帽子の形をしているので、横から見るとトサカ(あるいは野鳥のヤツガシラの冠羽)のようで頭でっかちで間が抜けて見える。近くで見るとなかなかカッコイイのだが、遠くからだと周りの山より低くてぱっとしない。そのおかげで百名山にならずに済んで、静かな山が楽しめるので善し悪しだが。
今回、裏銀座縦走を思い立ったのは、GWに立山の稜線からこのあたりの山々を見たときに、特に野口五郎岳の西側の小さなカールが目について、そういえばまだ行ったことのない山域だなぁと思ったことがきっかけだった。この写真は、ちょうどその逆で、稜線から見下ろすカールの向こうに立山が見えているところ。立山というのは、ずいぶん大きな岩のかたまりを頭上に頂く山なのだなぁと改めて思った。水晶小屋もこぎれいな小屋に建て変わって魅力的だったが、後の日程の都合で、がんばって鷲羽を越えて三俣山荘まで歩く。双六小屋の混雑を嫌った人たちが遅くまでかかって歩いてきて、意外に人が多くなった。
双六岳は山腹をトラバースして、西鎌尾根をたどる。三俣山荘で読んだ本によると、一番初めは三俣山荘の場所に行くためには、上高地、槍沢、西鎌を辿ったとのこと。古い歴史があるだけに、無理のない落ち着いたライン取りの道だ。千丈沢乗越までアップダウンを繰り返して行くがなかなか着かない。乗越からは坦坦と登るだけだ。自転車の山岳レースを連想しながら、ジワジワ登る。少し傾斜がゆるんだからと言ってトットッとペースをあげたり、大きな段差をエイと乗り越えてしまうと、ペースが乱れて結局遅くなる。ジワジワが大事。
12時過ぎに山荘にチェックインして、幅50cmぐらいの寝床を確保する。この小屋は先着必勝主義で、後から沢山来たからと行って、そのスペースが侵されることがないので、その後ドンドン人が詰めかけて来ても安心である。結局夕方暗くなるまでチェックインの行列が続いた。槍の穂先への渋滞もご覧の通りで、行列が一番長かった3時半頃にはコルまで行列のしっぽが伸びていた。初めてでもないので今回はパス。
時間があるので、南となりの大喰岳までブラブラ歩く。写真はここから南を見たところ。乗鞍岳の向こうに御岳が富士山のような頭をのぞかせている。この夜は、10時頃まで夕食が続き、その後食堂を片付けたところに寝る人たちは、ずっと廊下や玄関ホールで難民状態でゴロゴロせざるを得ず、落ち着かない雰囲気。小屋全体がザワザワしていてなかなか寝付かれず、やっと12時20分に消灯したと思ったら、もう2時半には点灯。小屋のスタッフはほとんど寝ていなかっただろう。朝食も混雑が予想されるので弁当にしてもらったが、鳥おこわのおいしい弁当だった。
東鎌尾根は西鎌に比べると、全体にけわしい印象だった。やはり新しく開いた道のせいだろうか。水俣乗越付近のくずれやすそうな石灰岩ぽい一帯は濡れるとずいぶん滑りやすそうだ。ヒュッテ西岳で大休止。飲み物が冷蔵庫で冷やしてあるのが面白い。大天井ヒュッテまで来るといいかげん疲れたので、山頂はパスして喜作新道のトラバースを選ぶ。なかなか危うい道だが、眺めは素晴らしい。なんとか燕山荘までたどり着くが、ここは民主主義で混み合ったら詰めると脅かされるが、結局幅60cmぐらいの封筒シュラフでゆったり寝られた。清潔なシーツとマクラカバーが付いていて大変快適。さすがは北アルプス入門の山小屋だ。沢からくみ上げた水が自由に使えるのも有り難かった。写真は絵に描いたような燕岳と、左に小さく尖っているのが烏帽子岳、その間に立山と一ノ越。ぐるっと回った旅の終わりを象徴するようなシーンだ。
今回は、登山期間中、豊科駅近くの南安タクシーに車を預けておいた。そこから登山口までと、下山してから豊科までここのタクシーを使うと、タダで預かってもらえるので安心だった。回送などもあるので、今後も便利に使えそうだ。
Camera: Panasonic DMC-FX01